ジェネリック医薬品について
| 目次 | |
|---|---|
| ジェネリック医薬品とは? | 新薬(先発医薬品)とは? |
| 新薬(先発医薬品)とジェネリック医薬品 | 新薬の特許の意味とは? |
| ジェネリック医薬品の効果と安全性について | ジェネリック医薬品を推進する理由 |
| 各国のジェネリック医薬品の普及率 | ジェネリック医薬品を病院で処方してもらうためには? |
| どの新薬にもジェネリック医薬品があるの? | |
ジェネリック医薬品とは?
2000年代に入ってから「ジェネリック医薬品」という言葉に接する機会が増えたと感じている方は少なくないでしょう。テレビやラジオのCMで目にしたり耳にしたりすることも増えています。
とはいえ、「でも結局、ジェネリック医薬品って何?」という方も多いのではないでしょうか。
ここでは、今いたるところでプッシュされているジェネリック医薬品とは何か、まとめています。
ジェネリック医薬品は、新薬(先発医薬品)の特許が切れた後、新薬の有効成分を使って製造・販売されている医薬品のことで、後発医薬品とも呼ばれています。
日本では特に2000年代に入ってから徐々に普及率が上がっている状況ですが、海外ではすでに幅広く使用されています。
「ジェネリック医薬品」という名称は、欧米において「一般名(generic name)=有効成分の名前」で処方されていたことに由来し、現在では全世界で定着しています。
新薬(先発医薬品)とは?
ある製薬会社が、病気に対して有効な成分の開発や発見に成功し、その有効成分をもとにした医薬品を開発した時、その医薬品は「新薬」と呼ばれます。
新薬は特定の症状に対する有効性の確認、人体へ悪影響が無いかなど基礎研究(2~3年)から非臨床試験(3~5年)、臨床試験(3~7年)などを経て、その後厚生労働省へ承認の申請を行います。
そして、審査をクリアして初めて新薬として販売されます。
時には製薬会社の努力の甲斐なく新薬として承認されず、世に送り出せないといったこともあり、新薬の開発(創薬)には大きなリスクがついています。そのため、新薬の開発を行なうのは大手の製薬会社が大半を占めています。
苦労を重ねた新薬は販売されたから終わりというわけではなく、販売後に再審査があり製薬会社は安全性や有効性を定期的に確認する義務があります。
現在、使用されている医薬品の約99%はこの50年の間に開発された新薬と言われています。
数十年前までは医薬品で治すことができず手術を必要としていた病気も今では自宅で治療を行えるようになっています。
他にも治療を諦めるしかなかった数多くの病気を克服可能なものにし、治療期間の短縮などにも貢献しており、新薬の存在は医療の進歩に欠かせないものになっています。
新薬(先発医薬品)とジェネリック医薬品
前述したように、ジェネリック医薬品は特許の切れた新薬(先発医薬品)をもとに作られています。
含まれている有効成分は新薬と同じものであり、効果や用法用量、副作用も新薬と同じです。逆にいえば、これらが新薬と同じでない場合ジェネリック医薬品として承認を受けることはありません。
では、新薬とジェネリック医薬品にはどういった違いがあるのでしょうか。
そして、ジェネリック医薬品にはどのような利点があるのでしょうか?
最も大きな違いは医薬品の価格です。新薬に比べ、ジェネリック医薬品は安価に購入できるという特徴があります。
そもそも医薬品の開発には臨床試験など多くの過程があり、完成までに10年以上もの時がかかることも珍しくありません。それに伴い、多く人が携わり莫大な費用がかかっています。
その費用を回収して利益を得るために、製薬会社が設定する新薬の価格は高くなりがちです。
ジェネリック医薬品は新薬に比べて安い
一方、ジェネリック医薬品は特許が切れたあとに開発された医薬品で、すでに臨床試験をパスしている成分を使って製造されています。一から開発するよりも費用を抑えて製造することが可能であり、価格も新薬に比べて安く抑えることが可能です。
医薬品によって異なりますが、新薬の2割から5割前後で購入できるというのが一般的です。
また大きさや形状、色、味などに改良が加えられている場合があり、その点もジェネリック医薬品のポイントです。法律上は、薬効や安全性に影響を与えない範囲での改良が許されています。
たとえば、錠剤が大きくて服用しづらく、苦味の強かった新薬を、別の製薬会社がコンパクトで味もなく服用しやすいジェネリック医薬品として製造し、販売していることがあります。
錠剤を服用するのが苦手な方や小さなお子様、高齢者の方にとって嬉しい改良であるといえるでしょう。
新薬の特許の意味とは?
前述のように、新薬には特許が設けられています。開発後20~25年間は、初めて開発に成功した製薬会社のみが製造と販売を行うことができるようになっています。
「なぜこのような、いわば優遇措置のようなものがあるのか」と思われるかもしれません。
確かに、消費者の側から見れば特許などないほうがすぐに安価な医薬品を購入できるので便利であるように思われます。
しかし特許制度には、新薬を開発した製薬会社への優遇措置以上の意味があります。
ジェネリック医薬品は社会全体にとって必要
特許制度は、新薬を開発した会社を守るためにあります。具体的には、開発後すぐに他の製薬会社によって新薬を製造・販売されてしまうと、開発した製薬会社に利益が残らないことが理由です。
特許制度がない場合、他の製薬会社は前述のように費用を抑えて医薬品を生み出すことができます。
当然価格は安くなり、消費者は「他の製薬会社」の医薬品を選ぶようになります。
このような中、新たな医薬品を生み出す力がある製薬会社が新薬開発にかけたコストを回収できなくなれば、新たな医薬品の開発が難しくなります。
結果的に医薬品の発展は遅れ、病気に対する新しい治療方法が生まれる機会を失ってしまうことにつながりかねません。
このような事態に陥らないようにするのが特許制度です。
まだまだ治療するのが難しい病気が数多く存在する今、社会全体にとって必要なことであるといえます。
ジェネリック医薬品の効果と安全性について
日本では十分に浸透していないこともあり、ジェネリック医薬品に対して「安全性が低いのでは」「効果が薄いのでは」などネガティブな印象を持っている方も少なくありません。
しかし、少なくとも国内で流通しているジェネリック医薬品の場合、安全性や効果に関しては十分に信頼できます。
新薬と同じ有効成分で作られているだけでなく、新薬と同様にいくつもの厳しい検査や臨床試験を経て厚生労働省の承認を得ています。
安全性の確保について
ジェネリック医薬品が新薬と同等の効果や安全性を保つために行われている検査とは、具体的にはどのようなものなのでしょうか?
まずは開発段階において、ジェネリック医薬品と新薬の溶け方に違いはないか、時間の経過による血液濃度の変化に大きな差がないかといったことが検査されています。
また生産段階においては、生産を行う工場の環境や工程なども厳しく審査されます。
各製薬会社は、安全に服用できる医薬品を一定の品質で製造できるよう「GMP」と呼ばれる基準に従って環境を整えることを義務づけられています。実際、医薬品の製造工場は手術室よりも清潔な環境ともいわれるほどです。
そして流通後も、医療従事者が本当に安全に使用されているのか定期的に確認を行い、その医薬品に関する情報提供を続けることで品質保持に努めています。
このように、ジェネリック医薬品は二重三重の試験や検査を経て、本当に安全な医薬品として消費者に届けられています。
ジェネリック医薬品を推進する理由
現在、ジェネリック医薬品の普及率を上げるようWHO(世界保健機関)が推奨しており、各国でも、主に先進国を中心にその動きが高まっています。
しかし、日本は先進国でありながらヨーロッパやアメリカに比べてジェネリック医薬品の普及率が低い時代が続きました。そのような状況を受けて、政府(厚生労働省)は目標を設定し普及率を上げるための様々な施策に取り組んでいます。
とはいえ、日本政府がジェネリック医薬品の普及率を上げようとしている理由は「WHOが推奨しているから」だけではありません。「医療費の削減」というのも大きな理由のひとつです。
日本は高齢化社会を迎えており、年々医療費は増加の一途を辿っています。
2011年と2015年を比較すると5年間で3.7兆円も増えていることがわかります。
このような背景があり、国や患者にかかる負担を減らすために、新薬に比べて安価に設定されているジェネリック医薬品の普及を目指しているというわけです。
各国のジェネリック医薬品の普及率
医療先進国と呼ばれる国では、ジェネリック医薬品の普及率は最低でも50%を超えています。
厚生労働省が公表している2013年10月から2014年9月のデータによると、アメリカは92%、ドイツは83%、イギリスは73%、スペインは65%、フランスは64%、イタリアは57%となっています。
これに対して、同じ時期の日本の普及率は49%でした。
残念ながら、医療先進国と比較するとジェネリック医薬品の普及率が低いことが判明しています。
アメリカやドイツが非常に高い普及率を誇っている理由は、ジェネリック医薬品を普及させるための制度が日本と比べて早くから導入されていたからだと考えられます。
代替調剤制度
たとえば、アメリカでは代替調剤制度が導入されています。これは患者自身が新薬とジェネリック医薬品を比較して自由に選べる制度であり、担当する医師と患者の合意のもとで決定します。この制度が導入されるまでは処方される医薬品の決定権は医師にのみあり、患者には決定権がありませんでした。
さらに、社会全体でジェネリック医薬品を推進する動きが強まったことがあり、高い普及率につながっていると考えられます。
一方、ドイツでは代替調剤制度に参照価格制度、総枠予算制度を合わせた計3つの制度が導入され、ジェネリック医薬品の普及を推進しています。参照価格制度は医薬品のグループごとに上限額を設定し、その上限額以内であれば保険で支払われますが、上限額を超えた場合は患者が負担するという制度です。
つまり、新薬より安価なジェネリック医薬品を選べば、より患者自身の負担額が減るというわけです。
また総枠予算制度は上記の参照価格制度に似ている制度で、1年間に健康保険から支払われる金額の上限を国が定めるというものです。
処方される医薬品の量を抑制しつつ安価なジェネリック医薬品の普及を推進し、患者や国の医療費が軽減されることを目的としています。
アメリカやドイツに遅れて、日本は2006年に代替調剤制度を導入しました。そして、2017年にはジェネリック医薬品の普及率70%以上、2020年までに80%以上を目標に掲げています。
ジェネリック医薬品を病院で処方してもらうためには?
実際にジェネリック医薬品を処方してもらうためにはどのような方法があるのでしょうか?
代表的な方法は、医師や薬剤師に「ジェネリック医薬品への変更を希望している」と伝えることです。
ジェネリック医薬品がまだ製造されていない(新薬の特許が切れていない)場合は処方されることはありませんが、すでに試験をパスしたジェネリック医薬品があり、特に問題がなければ処方箋を出してもらうことができます。その処方箋を薬局の窓口で渡すことで、ジェネリック医薬品を購入することが可能です。
また、医師や薬剤師に直接伝えにくい方のために「ジェネリック医薬品希望カード」や「ジェネリック医薬品希望シール」なども利用可能になっています。
カードは、受付の際に提示することでジェネリック医薬品を希望している旨を伝えることができるものです。
またシールの場合は保険証やお薬手帳に貼ることで、自分の希望を伝えることができます。
「ジェネリック医薬品希望カード」や「ジェネリック医薬品希望シール」は製薬会社のホームページなどでもダウンロードできるようになっています。そのほか、薬局などで配布されている場合もあります。
また、2012年から多くの薬局でジェネリック医薬品に関する詳細な情報を公開するようになりました。
ジェネリック医薬品がある場合は説明文書に医薬品名などが記載され、薬局の窓口でその存在を教えてもらうことができます。
どの新薬にもジェネリック医薬品があるの?
ジェネリック医薬品は、新薬の特許が切れた後でなければ開発・製造することはできません。そのため、すべての医薬品に対してジェネリック医薬品があるわけではありません。
ただし、複雑な特許制度の中で新しいジェネリック医薬品は着実に数を増し、種類も増えつつあります。
医薬品に関する特許は「物質特許」「製法特許」をはじめ4種類ありますが、一般的な特許のイメージが強いのは「物質特許」と呼ばれるものです。新たに開発・発見された有効成分に対する特許と考えればイメージしやすいかと思います。
この特許で守られているのは、有効成分の化学式や物質名です。物質特許が有効である間は、他の製薬会社が同じ化学式の成分を使って医薬品を製造することはできません。
一方「製法特許」は、有効である間は新薬の製造方法を他の製薬会社が利用できないというものです。
ただし、医薬品に関する4つの有効期間はそれぞれ別に設定される場合があり、「物質特許は切れたが製法特許はまだ有効である」という医薬品も増えています。
法律上『同じ成分であっても製造方法が異なれば認められる』ということで認可を受けたジェネリック医薬品が増えつつあるわけです。
こうして今、徐々にジェネリック医薬品は身近なものになりつつあります。これを機に自分にとっても社会にとっても優しいジェネリック医薬品を検討してみてはいかがでしょうか?
ジェネリック医薬品に関するまとめ
1、ジェネリック医薬品は新薬を基に開発された後発の医薬品です
2、後発のため開発費などが抑えられたため、安価で購入することができます
3、開発費が少ないから安全性や効果が低いというわけではありません
4、医療先進国ではジェネリック医薬品の普及率が90%を超える国もあります
5、日本でもジェネリック医薬品の普及率アップを目指しています
6、ジェネリック医薬品への変更を希望する場合は医師や薬剤師へ相談しましょう


